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文化を主としたロンドン現地ガイドツアー
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包む文化:イギリスと日本の文化比較

外国に暮らすと、自国の文化がよく見えるというのはよく言われることですが、
ロンドンに住む私にとってのそのひとつが、日本は「包む文化」だという点です。
こちらで買い物をして、包装紙で包んでもらうことなんて有り得ません。
プレゼント用ですか?なんて絶対に聞かれない。
そういう文化じゃないから。
アクセサリーを買っても、靴を買っても、姪っ子のおもちゃを買っても、
キャベツのように袋にボン。

では、プレゼントの場合はどうするのかというと、自分で包装紙を買って包むのです。
考えればエコですよね。
ステーショナリーにいけば包装紙もいろんな種類があってそれを選ぶのも、リボンなどでアレンジするのも楽しいし。
中身を手作りのものにしたり、時には、使いまわしなあーんてこともできちゃうわけで。

こないだ、日本とイギリスのデパートに勤務されていた方とお話をしたのですが、
日本では、包み方にもいろいろと規則があって、今でもほんとうに厳しいのだそうです。
子どもの頃見たあのマジックは、やはり訓練の賜物なのですね。
その方は、包みひとつだけではなく、いかに日本のデパートが規則に縛り付けられているか嘆いていました。

それを聞いて、アメリカの現代美術家マシュー・バーニーの「拘束のドローイング」という映画を思い出しました。
彼のパートナーのビョークといっしょに捕鯨船の中で日本風の結婚式をやって、心中するというへんちくりんな映画なのですが、その冒頭に登場するのが、モノを包む様子をクローズアップしたシーンだった。
「包む文化」を「拘束」と結びつけて語っているということでしょうか。
そういう風に話をもっていくと、なんだか否定的に捉えてるのかな、と危惧してしまうのですが・・・

ところで、礼儀作法とか社会の息苦しさの問題は棚上げしても、
「包む」ことは日本に根付いた文化だってことは、まちがいありません。
着物だって包む衣服です。カーヴのある身体を平面で包むには、美しく包むために手順があるわけだし、着終わってたたむ時にも、着物を大事に保管する知恵がある。
風呂敷だって、さまざまに変容する実に便利な鞄です。
そういう作法や礼儀は、実は、洗練された所作の動きやより深いところでのエコな考えに基づいているのではないかと思うのです。
ある日、こちらの職場でランチにおにぎりを持っていったら、注目されました。
おにぎりにではなく、それを大判ハンカチに包んでいたことです。
お弁当を包むのは、わたしにとっては当たり前だから、注目されたことに逆にびっくりでした。
季節の柄が入った布にさりげなくくるんで持ち運び、テーブルマットにも様変わり・・・
マジックですよね。少し得意な気分になりました。(そういや、おにぎりだって包む食べ物)

付け加えますが、だからこそ、ヨーロッパに観光旅行される方に一言ご忠告したい。
包むのは日本独自の文化なのだから、逆に、外国にもそれを期待しないでください。
ハロッズとかの高級デパートで、お土産にと、たくさんお買い物する際、友人や家族に渡すときに小分けできるように、デパートのロゴが入った袋などをたくさんもらえると思わないでくださいね。日本のデパートはするでしょうが。
こちらでは、ぜーんぶいっしょに大きな袋にボン、です。
ロンドンの高級デパートでそんな扱いを受けたことに憤慨した日本の方のブログを拝見しましたが、
逆にいえば、店員からいやな顔をされて当たり前、憤慨すること事体が筋違いなのです。
文化が違うのですから。
そして文化というのは違って当たり前なのですから。


このブログは、アートローグのディレクターによって書かれています。

アートローグは、ロンドン現地にて、ユニークな文化の旅の企画・ご案内や日英のミュージアム・コーディネートの仕事をしています。

観光の個人ガイドのほかに、現地日本人向けの文化講座や、文化関係の通訳やミュージアム資料調査の代行も行っています。

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