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博物館をステージする:シェークスピア展@大英博物館

2012 年は、オリンピック・パラリンピックに乗じてか、イギリスのあちこちでシェークスピア劇がかかっています。
ロイヤル・シェークスピア・カンパニー(RSC)はもちろん、世界中のさまざまな劇団が、その国の言語でアレンジしたものをイギリスにもってきていて、とても賑やかなんです。
わたしもブラジルの劇団によるサーカス仕立ての「リチャード3世」と、チュニジアの劇団が、一昨年末に起ったジャスミン革命を絡めた「マクベス」を観ました。

今、大英博物館で「シェークスピア展」が行われているのもその流れ。
この展示は、シェークスピアという作家・詩人・演出家・役者に焦点をあてるのではなくて、彼の作品ひとつひとつを当時のロンドンやイギリス、そして世界という文脈のなかで眺めるものです。

「作品に焦点をあてる」のをコンセプトにするってことは、街中でやっているシェークスピア演劇祭とコラボレートしようぜという意図なのですね。
実は展示のつくりもそのようになっていたのです。
たとえば、「ヘンリー5世」劇のコーナーの展示には、対フランス戦に勝利した王のヘルメットや剣(葬式で棺の上に飾られたホンモノ)があり、その奥の壁一面には映像が映し出され、RSCの俳優がヘンリー5世の有名な台詞を語ってる。
両方を見てたら、あのハンサムな俳優に重そうなヘルメットをかぶせてみたくなった私です(´・ω・`)

中でも面白かったのは、「ジュリアス・シーザー」のコーナー。
そこには、わたしがストラットフォード・アポーン・エイボンで観た「ジュリアス・シーザー」のブルータス役の俳優が演じる映像がありました。
ネクタイをしめた黒人のブルータスが、台詞の最後に小さなコインを胸の前に差し出すのですが、その現のコインが、実は大英博のローマ時代のコレクションで、隣接したケースにちょこんと展示されている。
その小さなコインの表にはシーザーを殺した武器が、その裏にはブルータスの横顔が彫られている。
シーザー暗殺直後、アンソニーらがブルータス含め暗殺に加担した集団を貶めるまでのほんの短い期間に、このようなプロパガンダ的コインが流布されたのだと知って、超びっくり。
それつけても、この映像と実際のコインの並列!なかなかやるなー、とうなってしまいました。
(RSCの「ジュリアス・シーザー」劇はほんとに素晴らしかった―記事はこちらから。)

という感じで、確かに、いくつか面白い箇所があったのは事実。
それはそうなんだけど、全体的な感想はと聞かれれば、正直言うと、ちょっと散漫だったと答えねばなりません。
展示場の出口を出た後で、あー満足!っという感じではなかったんです。残念ながら。
かなり工夫して、かつ慎重に映像を展示にとりいれているのがよくわかるし、その挑戦に対してはよくやったといいたい。
だけど、映像の役者たち(みな有名な俳優みたい)の演技はたとえ短くても素晴らしいし、「モノ」自体だって、時代の証人として絶対的な存在感の強さをもっているわけで・・・しかも、大英博としてはその「モノ」を本当は見せたかったはずで。。。
きっと、その二つが相克してしまうのでしょうね。
それが、結果的に展示全体の経験を損ねてしまったのかもしれない。

ところで、大英博物館のグレートコートの中央にある特別展示場は、かつて図書館であった円柱形の建物です。
なんだか、そこにも勝手に関連を見つけてしまいました。
ひとつは「本」というキーワード。
「シェークスピア展」で出会う最初の展示物は、シェークスピアの死の直後に編まれた「第一選集」だった。
それから「円形建物」というキーワード。
シェークスピアの芝居小屋、「グローブ座」も「ローズ座」も円形劇場でした。
そんなこんなをつらつら考えながら、展示場の丸天井や未だ残っている本棚をぼーっと眺めておりました。

いや、しかしだ。シェークスピアの世界に酔いしれたいなら、やっぱり芝居小屋だよな!
再来週のはじめには、「リア王」を観にいきます。 (*´∇`*)


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