宮殿の中の小さな自然:ウィンザー城
久しぶりにウィンザーに行った。イギリスに十年以上住んでいると、以前は見えなかった事が見えてくる。
今日は、現役の居城としては世界最大、かつ最も古い部類にはいるこのウィンザー城の新たに発見した魅力について、
写真を使ってご紹介しようと思う。
Windsor へは、Paddigton駅からSlough で乗り換えて、わずか40分ほど。旅の初心者でもけっこうスムーズに行ける。
駅に到着したら、構内の「I」に寄ってみよう。愉快なスタッフが笑顔で向かえ、親切に教えてくれる。
でも、なんでピースなん?
駅の商店街を抜けると、いきなり目の前にお城がどーん現れ、びっくりする。
丘の上の城郭は、ロンドンのバッキンガム宮殿とは違い、中世のヨーロッパのお城のイメージぴったり。
王の住まいだけではなく、要塞の役割をしたというのが、その外観からもよくわかる。
入場チケットを購入し、セキュリティーチェックをうけたら、その坂道を上がっていこう。
ここに行くには、毎日(除く日曜日)11時から始まる近衛兵の交替式に時間をあわせるといい。(HPで要確認)
バッキンガム宮殿の交替式のように騎馬兵はいないけれど、
お城を背景にユニフォーム姿の兵士や楽隊が行進する様子はなかなか絵になります。
城のハイライトは、やはり、接待の間や素晴らしいコレクションのある「ステイトアパートメント」だろうけど、
時間があれば、ぜひ、セント・ジョージ・チャペルにいってみてほしい。
後期ゴシック建築の建物が荘厳なだけでなく、
王や女王たちが眠り、王室とつながりが深く、重厚な歴史があるからだ。
ヘンリー8世も、ピューリタン革命で処刑されたチャールズ1世も、
現在の女王の父や祖父であるジョージ5世、6世もここに埋葬されている。
ヘンリー8世は6人の妻がいることで有名だが、墓でも6人と一緒に寝るのは窮屈なので、隣にいるのは、待望の男の子を生んだ第三の妻、ジェーン・シーモアというわけ。
ステイツアパートメントについては、たくさんの情報があるので、そちらに任せることにして、ここでは、ぜひ建物外のことを書きたい。
それこそが、以前訪れたときは要塞の頑強な印象が強すぎて、わたしの目に入らなかった事だから。
それは、こんな重厚な雰囲気のお城のなかにも、小さいながらエレガントな自然がある事である。
しかも、ふつうのお庭のような、とても親しみをもてる自然。
他国の宮殿にも、もちろん庭園はあるが、巨大でシステマティックで、人工的なガーデンである場合がおおい。
このように、リラックスして繊細な庭は、実に英国庭園らしいと思う。
訪れたのは2月末なので、彩りがさほどないが、
それでも、よく手入れした庭に、雪のように白いスノードロップや、クロッカスの花がつぼみを膨らませ、梅の花が咲きかけていた。
思えば、バッキンガム宮殿の前にあるセントジェームズパークも、
とてもロンドンの中心地と思えないほど、ゆったりとした自然がある。
イギリスは、王室からして自然を楽しむ事を心得た国民なのだとつくづく思う。
春は、もうそこに来ている。
(基本情報)
ウィンザー城の入場などについては、公式ページで事前にチェックして下さい。
そして、あの格式あるイーストン校は、この城から歩いて10分ぐらい。ぜひ、ここにも立ち寄って下さいね。