陶器の町を歩く:ストーク・オン・トレント
ウェッジウッドやバーレイなど、イギリスを代表する陶器の町、ストーク・オン・トレント。
イングランド中部の産業都市なのに、ファクトリーショップやアウトレットのサイトに行くと、日本語のページがはいっていることが多い。
それだけ日本人に大人気という証拠だろう。
ロンドンからわざわざ訪れる方の目的は、工場直営のファクトリーショップやアウトレットショップでの買い物だ。
当然ながら種類は豊富だし、日本でなら高価な食器がお手頃価格買える。
現在のレート(1ポンド=190円)でも、日本の半額位でかえるものがざらにある。
ボーン・チャイナの魅力、イギリスのデザインに魅せられた方々は、思う存分お買い物を楽しんでいただきたい。
でも、もし時間が許すならば、お買い物や工場見学だけでこの町を終わるのではなく、
ぜひ、ぶらぶらと陶器の町を歩いてもらいたいと、わたしは思う。
ロンドンからバージントレインで1時間半、ストーク・オン・トレント駅に近づくと、
赤煉瓦の煙突や巨大なボトルの形をした焼き釜がみえてくる。
ストーク・オン・トレントは、実はひとつではなく、6つの町で構成されている。
それぞれの町や工場へは車で移動可能だが、実は、運河によってもつながれている。
歴史的に重要なのは、車では通ることのできない、この運河の方かもしれない。
なぜなら、この運河こそが、土を運び、完成した製品を運んだ産業網だったからだ。
その運河に沿った小道を歩けば、赤煉瓦の工場を眺め、陶土をとったフィールドに出くわす。
工場建物は、使われていないところが多く、廃墟が広がっている。
英国陶器の人気が衰えていないとしても、産業としてはかつての活気はない。
でも、私個人はそういう廃墟を歩くのが結構好きだ。
ノスタルジックな時間が流れていて、かつて、この運河沿いに栄えた様子を想像するのは楽しい。
車道の喧騒から離れ、運河をいくナローボートが行き来したり、釣りを楽しむ人や、散歩する地元の人々に出会う。
水鳥たちも戯れる静かな散歩道だ。
そんな散歩が、ちょっとだけお手軽にできるのが、150年の歴史をもつバーレイの工場である。
工場の裏手にはその運河が流れていて、そこにたたずめば、かつての運搬の様子が浮かぶ。
それを眺める素敵なカフェもある。
住宅地を大回りして橋を渡れば、向こう側に小道が続いている。それが運河に沿って歩く散歩道になる。
その運河沿いを1時間ほど散歩していたら、正装した二人の男性とカメラマンが笑いながら撮影を楽しんでいた。
「映画のタイトルは何ですか?」と問いかけてみたら、
「ウェディングだよ」と答えがかえってきた。
なんと、優雅でリラックスした結婚式。
「お幸せに!」
このブログは、アートローグのディレクターによって書かれています。
アートローグは、ロンドン現地にて、ユニークな文化の旅の企画・ご案内や
日英のミュージアム・コーディネートの仕事をしています。
ストーク・オン・トレント在住の日本人陶芸家がご案内するツアーもあります。
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