イギリスでシェークスピア芝居を楽しむ方法
シェークスピア戯曲は詩だ。
その詩は、力のある俳優の舌の上に載ったとき、心に美しく響く事の葉になる。
先日、ロンドンの古い教会セント・バーソロミューで、シェークスピア劇「リチャード2世」を観おわって、改めてその事に感じ入った。
こんな教会のなかでシェークスピア劇が行われる事を知ったのは、ちょっと前お客様をご案内した時、たまたまリハーサルをしていたからだ。
チケットを予約したのも、そのセッティングの面白さゆえ。
名前も知らないような劇団で、お金のかかっていないチラシからも、いわゆる半プロの劇団なんだろうと思った。
つまり、正直、演劇そのものにさほど期待をもってはいなかったのである。
当日、教会を再び訪れたら、薄暗がりに蝋燭がたかれ、お香が漂っていた。
雰囲気はばっちり。
聖歌隊席の中央部が舞台となり、観客はそれを左右にはさむかたちで座る。だけれど、観客席は歯抜け状態。
ああ、やっぱり期待するのはよそう・・・とひそかに思った。
でも、観終わった時、すっかり劇に魅入られている自分に気がついた。
圧倒的に演技のうまさだ。 半プロだろうと生半可ではない。
イギリス演劇の底力におそれいる。
せっかく観にいくのなら、ちょっとは下調べしておこうと、英語のオリジナルの「リチャード2世」を事前に入手した。
古い英語だし、なかなか理解しにくいので、まずはウィキペディアであらすじを押さえ、登場人物の関係性についての簡単なメモをつくった。
戯曲の英語に慣れるまで、しばらく時間がかかる、でも、コツをつかめれば、先に進むことができる。
それなりにがんばったてはみたけれど、当日までに、結局、1/4ぐらいしか読めなかった。
それでも、その古英語で読んでいたおかげで、芝居の最初の部分がよくわかった。
そして、書かれた言葉がなんと活き活きと美しく響いたことか。
やっぱり詩なのだ。
そのように楽しめたのも、先にオリジナル英語で読んでいたおかげだと思う。
芝居が未読部分にはいっていた後だって、細かいところは理解できなくても
その詩の世界にすっかりのめりこんでいた。
というわけで、イギリスでシェークスピア劇をご覧になろうという方は、
簡単なシナリオをおさえておくこと、そして少しでもよいから オリジナルの英語に目を通しておくことをおすすめする。
Devid Tennant が演じる Richard II (これは上記の芝居ではありません)