ブリテン島の陸の孤島
スコットランド旅、5日目。
朝、ウォーキングに向かったのは、Achiltibuie村のある半島の付け根。
地図のうえの距離では、ハイランドの幹線道路と近くにあるのだが、
幹線道路とその付け根部分を結ぶ車道はない。
その海岸線は、道路が敷けるような環境ではないのだろう。
だから、2日前ここに入ったときも大回りしながら、クネクネ道を走ったのである。
今朝は、車がはいれるぎりぎりのトッツキまで行き、
そこに停車して、その先に続く「フット・パス」を歩くことにした。
ゴースの黄色い花が咲き乱れ、その香しい匂いがあたりに漂う。
時折、色鮮やかな家や石造りの小屋が点在する。
羊たちの群れの向こうには海が広がっている。
なかなか絵になる風景だ。
その先にも道が続いているのだそうだが、
昨日の事もあったし、ここもかなり長く厳しい道のようなので、
今回はそこで断念した。
ところが、後で、Joさんの本を斜め読みして知ったのだが、
その道は、ハイランドの中心部と結ばれた唯一の道だった。
あの2日前わたしたちが通った車道ができる前の話である。
かつて、このAchiltibuieにくるために、ポストマンは20キロ以上の険しい道をとおったという。恐れ入ってしまう。
文字通り、このエリアはブリテン島の陸の孤島だったのだ。
そんなロケーションに住む人々の生活は厳しかった。
時には凄まじい貧困とか飢餓とかがあったらしい。
ところで、わたしたちのホストのJoさんは、母屋の方に一人で住んでいる。
たぶん、70代半ばぐらいの方だと思う。
きれいな英語を使われたので、ご出身を聞いてみた。
「いえ、わたしはもともとロンドンなんですよ」
「リタイアーしたし、子供たちも大きくなったから、
27年前、ここに住み着いたんです。」
「犬もいたし。ここが大好きで」
「あなたたちが泊っているコッテージは、昔、牛小屋だったんですよ」
高齢の女性が一人、こんなに田舎の家で暮らしている。
イギリス人の高齢者はとても自立していて、
それなりに自分の人生を楽しんでいる人が多く、いつも感心してしまう。
かつては寂れた部落も、
Joさんみたいな人がいたり、ウォーキングやシーカヤッキングが好きな都会人がやってきて、今は人口が増えているという。
最後に、今日のごほうびの写真。肉眼で発見。
まさか、出くわすとは思わなかった。