バンクシーの「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」に泊まったら・・@ベツレヘム、ヨルダン川西岸パレスチナ
2019年4月、イスラエル旅行の最後に、
ベツレヘムにあるバンクシーが建てたホテル「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」の「バンクシールーム」に泊まりました。
自分へのご褒美です!
イスラエル政府がパレスチナとの間に建立した分離壁のすぐ横にあります。
ホテルにはバンクシーのブラックユーモアやメッセージがたくさんありました。
宿泊客しか入れないエリアも含めて、写真でお伝えしますねー。
ウォールド・オフ・ホテルの正面。すぐ右側に素晴らしく頑強な分断壁がある。命名は、アメリカ資本の最高級ホテル、「ウォールドフ・アストリア」のもじり? もとはなんの変哲もないビルだったらしい。そこをステンシルでバルコニーやギリシャ風のフェイク柱を描き、豪華にみせた。
赤いユニフォームを着たチンパンジーのドアーマンが迎えてくれる。「マダム、お荷物をお持ちします。あら、蓋があいちゃった。まだ新米なもんで、すっんません。にしても素敵な下着をお持ちで。」「失礼な。それ、あたしが着るような下着じゃないよ。」
レセプションには、ロンドン、NY、エルサレムの時間を示す時計。バンクシーネズミが回っている。東京は遠すぎる?
ホテルのコンセプトは20世紀初めのコロニアルスタイル。壁には剥製の動物の頭の代わりにCCTVカメラ。鉄砲の代わりに壁を壊すトンカチとかが並んでる。一番下には、ダイアナ妃とかの記念プレートが。
20世紀のホテルを再現するのに、グランドピアノは欠かせない。天井からは救命マスクをつけたエンジェルたち。ホテルがオープニングした時には、イギリスからの遠隔操作で、エルトン・ジョンがピアノ演奏をしたらしい。
かの有名なバンクシーのストリートアートも金色の額縁に。しかも、花束は本物の花瓶に入っている。
一見、本棚。でも秘密のドア。客室に行くにはこのドアをドロンと抜ける。ちなみに客室数は9つ。ドミトリー形式からジャグジー付き豪華部屋まであります。
客室をつなぐ廊下には、バンクシーらしいセッティングが。「TWO DOGS」! 確かに、イギリスの画家は犬を描くのが好きだからね。
将来的には、ちゃんとバリアフリーにするらしい。でも、コンセプトは壁なのよね〜。
じゃーん、わが「バンクシー・ルーム」。今宵は、どんな夢を見よう?
ルーム・キーは、すぐそこにある分離壁の形をしてます。
テレビのスクリーン、割っちゃったの? いえ。これはテレビのように見えるアート作品で部屋にテレビはありません。わたしらをカメラで面白半分で映すなよ!とパレスチナのおばさん? バンクシーのホテルではお馬鹿でフェイクなテレビ番組なんかみないで、ゆるりと本を読みなさいと諭されます。はい。
だから本ならいっぱい。自由に読んでいい。しかも古本。徹底して1920年代風。
水は大事な資源。ホテルで一回使っただけのタオルを洗うのに、大量の水を使ったりなんかできないよ。イスラエル側から意地悪され、水不足のパレスチナのために、お泊りのお客さんも協力してね。はい。
バンクシーホテルの宣伝文句は、「世界一、眺めの悪いホテル」。これが、二階にあるバンクシールームからみた景色。分離壁のあちらには、イスラエルの近代的な街がどんどん建築されているらしい。壁には世界中からやってきたストリートアーティストの絵。写実的な女性の絵はパレスチナの16歳のヒーロー。
ホテル内には、分離壁についての歴史的な検証をする小さなミュージアムやパレスチナアーティストの作品が紹介されたアートギャラリーがあります。ユダヤ人も来ていました。
ホテルのブレックファースト。フムスやらやわらかいパンやらのパレスチナ料理。ユダヤの料理に似てるんだよね。美味しかったわ〜。
ロビーからみえる「最悪」の眺め。壁のせいで日照時間はとても短いけど、ストリートアートがエネルギーをだしてる。
16日間の旅おしまい。よく歩いてヘトヘトだけどいっぱい学んだし、実に楽しかった〜。明日はロンドンへ帰ります。