船乗りたちのパブ その1
ロンドンでも、観光地から少しだけ外れると面白いところがたくさんあります。
たとえば、ロンドン塔からちょっとだけ東の方へ歩いたエリアだって、
残念ながら旅行ガイドには紹介されていません。
ここには、ロンドンらしい古い歴史が隠れているし、その昔、船乗りたちがたむろした古いパブがたくさんあります。
ひさしぶりに、うさぎのロビンが個性あふれるパブをご案内しましょう。
ロンドン塔やタワーブリッジを横目に見ながら(川を渡らず)、
テムズ川沿いを東に歩くと10分もしないうちに
セント・キャサリン・ドックといわれる小さな湾が目の前に広がります。
きれいなヨットが並んでいて、湾の周りにはレンガ造りの旧倉庫が並んでいます。
七つの海を制覇した大英帝国の時代、テムズ川は慢性的に船で超満杯でした。
特にテムズ川のタワーブリッジから東側には貿易の倉庫や船作り場が並んでいて、
先を競って船をつけようとしたり、方向転換をするために、無駄な時間と労力が使われたので、
少しでもたくさんの船がつけるようにと工夫されてできたのが、このドック(波止場)なんだって。
その喧騒も昔の話、
今は、まるで都会のリゾート地のように、おしゃれなレストランやホテルが林立していますが、
レンガ造りの建物はそのままで昔の面影が残っているの。
例えば、この時計とうの建物は、「アイボリーハウス」という名前。
象牙の貿易で栄えた倉庫だったんだね。
小さな跳ね上げ橋をわたった東側は「マーブル・埠頭」、
イタリアから大理石を積んだ船がついた波止場です。
そこに、立っているのが、「ディケンズ・イン」という大きなパブ。
三階建ての建物は、かつて、ほんとうにイン=宿屋だったことが窺えます。
そして、前に広い空間があるのは、馬車がそこについたから。
なんていってたら、ほんとうに馬車がやってきてしまいました。
映画の撮影なのでしょうか?
ロンドンにはそのままロケ地になっちゃう場所がいっぱい。
このパブは、確かに立派で、古めかしいけど、あまりおすすめしません。
ロンドン塔に近いせいか観光ブックにも載っていて、有名なんだけど、あまりローカルな感じがしない。
(ま、それもパブなんだけどね)
でも、せっかくだから、ビールを一杯ひっかけて(やっぱり!)、次にすすみます。
さらにテムズ川沿いを東へ。
だんだん、観光地から離れていきますが、
テムズ川や石畳の道や倉庫街をみながらの散歩道です。
下は、東側からみたタワーブリッジとセの高いシャード。
帆船がたくさん泊まっている。
これは川にそそぐ運河です。レンガ造りのおうちが並んでます。
時々、テムズ川までおりていく石畳の道がみつかります。
これは、かなり古い石階段です。
このくぼみ具合といい、かつて、船乗りたちや海賊たちが使ったものだね。
パイレーツオブカリビアンの世界だよ~。
レンガづくりの倉庫は、今やみなおしゃれなアパートメントです。
そうこうするうちに、パブの看板が見えてきました。
その名も「キャプテン・キッド」。
そう、あの「宝島」の、海賊キャプテン・キッドです。
実は、実在の人物なの。
でも、なぜ、海賊の親玉の名前がパブについているのでしょうか?
この看板、右下をよく見てください。
なんか、ぶらーん、ぶラーンしています。
そう、キャプテンキッドは、このパブのそばのテムズ川の上で絞首刑にされたのです。
そんなおどろおどろしい話にゆかりのパブに入っていくと、
なんと、緑と光が溢れる素敵な空間が待っています。
でも、よーくみると、
なんと絞首刑の綱がぶらーんと下がっています。
ひょえー!
キャプテン・キッドの幽霊の下をくぐって扉をあけると、
天井の低い、典型的な古いパブ。
その壁にはやっぱり、
キャプテン・キッドがぶらーん。^^
でも、ここには、テムズ川に開いた素敵なお庭があり、
夏は開放的で心地よくビールが飲めるのです。
そう、海賊たちの幽霊と一緒に!
テムズ川からみたパブはこんな感じ。
ね、イギリスのパブを知ると、歴史がわかるでしょ?
幽霊と一緒にビール飲みたくなるでしょ?
また、近いうちに、この先をもっと東までご案内しますね~。
本日はこれにて~。
このブログは、アートローグの看板うさぎロビンによって書かれています。
アートローグは、ロンドン現地にて、個人旅行のための企画・ガイドや
日英のミュージアム・コーディネートの仕事をしています。
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