大英博物館とミルクチョコレート
さっぶい日には、ミルクチョコレートが恋しくなりますよね。
そのミルクチョコレート、イギリスには日本ではみかけない形状のがあるんです。
ほら、粉状でなくて、こんなでかい粒の。
大匙一杯ぐらいを火にかけながら、ぐるぐるミルクで溶かす
―それだけで、とても滑らかなミルクチョコレートのできあがり!
このパッケージもなかなかすてきでしょ?
そこに描かれたモデル、バッハみたいな人は、
サー・ハンス・スローンといって、
実は、あの大英博物館の設立に大きく貢献した有名なコレクターなんです。
なぜにして、そんな人がミルクチョコレートのパッケージになっているのであるか?
スローンは王室に仕える有名な医者だったのですが、 ある時、貴族の船団に乗って、ジャマイカに行く機会を得ました。
ジャマイカにはヨーロッパではみかけない植物がわんさかあったので、収集家スローンは嬉々として集めまくったに違いありません。
彼は、現地の人が体によいと不思議なものを好んで飲んでいるのをみて自分でも飲んでみました。
それが、とてつもなく苦い! 妙薬は口に苦いにきまっておるではないか。
そう、それがカカオだったのです。
スローンは、それにミルクや甘みを加えて、飲みやすい飲み物にしました。
それをイギリスにもちかえって広めたところ、貴族たちの間でとても人気のある飲み物になったんだそうです。
でも、はじめのころは、薬屋さんで売ってたんだって。 そもそも効用のある健康飲料だもんね。
スローンは亡くなる時に、自分の膨大なコレクションを二束三文で国に譲りました。
それがすぐ後に、大英博物館が誕生する核になったのです。
本草学の医者と、豊かな植物が育つ中南米と、「もの」を収集する博物館が、
不思議に結びついたとても興味深いストーリーですね。
ちなみに、チェルシー地区には、「スローン・スクエアー」駅という地下鉄の駅がありますが、スローンの大邸宅があったことに因んだ命名です。
でもって、その地区にある素敵な庭園、「チェルシー薬草ガーデン」も、もともとこのスローンの庭だったところ。
居心地よいお庭で、おすすめです。(冬は閉じてるけど)
スローンのブランドは、今でもイギリスのスーパー、Waitorose で売っています。
とても柔らかな舌触りで美味しい!
でも美味しいからといって、飲みすぎはよろしくないですよん。
イギリス土産なら紅茶が定番だけど、
こんなのも、大英博物館のお土産話にもなって、なかなか機転がきいているんではないでっしょか~。
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