陽の昇るアブ・シンベル神殿:エジプト
2017 年1月、エジプトの旅はカイロから始まり、ナイル川を遡る行程だった。
カイロから夜行寝台電車に乗ってルクソールへ、古都にしばらく滞在して、電車で4時間ナイル川をさらに遡り、アスワンへ。
ローカルの匂いのするこの町でゆっくりしてから、今度は地元の長距離バスに乗って、さらに4時間南下、アブ・シンベルの地に着いた。
ここがわたしたちの終着駅だ。
お目当ては、ラムセス2世が建てた巨大なアブ・シンベル神殿。
一般的な観光パックツアーなら、砂漠の僻地にあるこの神殿をみるためだけに、飛行機かナイル川クルーズで到着し、
そこにタッチしたと思えば、すぐに別の土地に移動する。
でも、わたしたちは日程のゆとりがあったし、その地がどれほど遠いのか、身体的に知りたかったし、この土地でも一夜を過ごしたかった。
宿に到着したのは昼過ぎ、ここから神殿までは車で10分ほど。
すぐに目的地に出向いてもいいのだが、今日は、伝統的ですてきな宿でリラックスして、明朝早く起きて、神殿に出向くことにした。
神殿は朝5時から開いているという。特に夏場はとてもじゃないけれど、日中に訪れられないからだ。
驚いた事に、その宿で日本人観光団体がランチをとっていた。
料理で有名なその宿は、いくつもの日本の旅行代理店からコミッションを受けているらしい。
わたしたちが出会ったのは、クラブツーリスト(近畿ツーリスト?)に参加した30人ほどのグループだ。
聞けば、全行程5日間、今日は別の大きなホテルに滞在し、今夜のライトアップと明朝の日の出を見に神殿に行くという。
スカーフを頭に巻いていたからか、わたしは地元に住んでいる人に思われてしまった。
さて、明朝6時、湖畔にある神殿へ向かう。
果たして、わたしたちよりも先にその団体の方々がいらした。
わたしは、神殿全体が見えるところに座って、オレンジを食べながら太陽の光の神殿の様子を見ることにした。
この神殿も、以前に書いた、カルナック神殿と同じで、
設立者である王の誕生日と即位の日 (たまたま6ヶ月の差)に、日の出とまっすぐ対峙するように場所が選ばれている。
選ばれた日は2月22日だから、あと1ヶ月先なので、その状態に近い現象がみられるだろう。
クラブツーリズムの方々は、残念ながら日の出をみたらすぐに、次に移動されてしまった。
その後、次の団体がくるまでの30分ぐらい、
まさに友人とわたしの二人だけの贅沢な神々しい時間だった。
日の出直前から40分ぐらい同じところに座った時の写真を並べてみることにする。
真正面から陽が当たっている時は神殿はもっとも赤々としていて、
太陽の位置がもっと高くなると、また彩度を落としていった。
わたしたちの旅を終えるのにふさわしい The End だ。
深い体験をありがとう。
今度はわたしが、ロンドンでみなさんの旅が豊かなものになるようお手伝いいたします。 なあーんて(照レ)