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空間を遊ぶ:ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ

ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで、建築の展覧会をやっている。様々な国の建築家たちの作品が集められた展覧会だ。こういう展示のつくりだと、ついつい作品を比較してしまう。そこに作家の文化背景をみようとし、違う文化に属する建築家たちの空間に対する捉えかたの違いを考える。でも、見学しながら、そういう鑑賞の仕方も実はステレオタイプなのではないかと思えてきた。

それでも、自文化に対するアイデンティティーをとりたて意識していたのは、中国と日本の作家だった。Li Xiaodongの、竹という素材やその組み方には伝統を感じさせるものがあったし、隈研吾の作品も、畳の匂いや檜の匂いを使って、「間」という日本独特の空間の捉えかたをみせていた。

でも、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツという建物と遊んでいたのはDiebedo Francis Kere (バキナ・ファソ&ドイツ)、Eduardo Souto de Moura(ポルトガル)そして  Pezo von Ellrichshausen(チリ)だと思う。

例えば、Kereは、二つの展示室をまたがる部分に、色鮮やかなドームをつくった。2014-03-06 14.24.13-83

近くには、蛍光色の自在に曲げられる細長い棒がたくさん置いてあり、来館者がそれを曲げたり、形作ったり、ほかとつなげたりして、そのドームをどんどんつくりあげていく-という、参加型の作品だ。

 

 

 

 

 

Pezo von Ellrichshausenの建築は、展示室いっぱいの巨大なスツールだ。だが、そのスツールの脚の内部は螺旋階段になっていて、上がると美術館の天井近くにたどり着く。

普段はマジかでみることのない、この18世紀の建物の細部に2014-03-06 14.24.13-119出会う。小さな窓を通して、隣あわせの展示室への入り口を見下ろす。

 

 

Mouraは、この美術館の各展示室の出入り口に施された美しい建築的装飾をコピーして、違う素材で再現し、その出入り口付近にずらすように設置して、不思議な空間を創った。

 

 

Mouraはこういう、

「建築家のための空間なんかありはしない。その空間にある種の印象を与えるような制限をデザインするだけだ。」

難しいことをおっしゃる。

だが、ふと気がついた。 彼らは、特にチリだの、バキナ・ファソだの自らの文化背景を表そうとしているのではない。ただ、一人の建築家として与えられた空間の中で、彼ら自身の表現、Mouraの言葉を借りれば「制限」を追求しようとしているだけである。彼らにとって、そこにラテンアメリカ的なものとかアフリカ的なものなど不要なのだろう。

グローバルな21世紀、グローバルに活躍するアーティストたちは、いつも彼ら自身のアイデンティティーを表現しようとしたり、それを求められたりすることが多かったし、今まだそれが通常ではないだろうか。村上隆などその代表かもしれない。

でも、空間と遊んでいる建築家たちの作品をみていたら、そんな事、本当はどうでもよい事ではないか。むしろ、それを越えなければいけないのではないか、と思えてきた。

まずは、鑑賞者であるわたし自身がもっと自由に感じようじゃないか。もちろん、創り手の文化背景を知ることもとても大事だけれど、それをむやみに検索したり、作品とこじつけたりせずに。
ひとりひとりの建築家の与えられた空間とのコラボレーションを体感するのが面白かったし、その空間の中で、ほかの人々が動いたり、立ち止まったり、寝転がったりしている動きを見るのも楽しかった。 彼らもそこに設えられた新しい空間に身体を預けながら、あるいは頭の中で遊んでいたのである。

あと少し、4月6日までやっています。

「Sensing Spaces」展


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