マークさんと「パリ歩き」
パリとロンドン、ニ都を結んでユニークな旅の企画が作れないだろうか? でも、パリは絶対パリの人でないと。一人一人のお客様のことを丁寧に考え、質のある旅をつくるサポートをしてくれる、そんなガイド/コーディネータさんとコラボレートしたい。
そんなことを考えていたところ、運よくマークさんをみつけた。パリ生まれ、パリ育ち、生粋のパリジャンだ。
ホームページからも彼の誠実さが伝わる。大手旅行代理店にはできないようなユニークな町歩きも積極的に提案している。
名前も「パリ歩き」。
さっそく、マークさんに連絡をとってみたら、「面白いですね。ぜひ、前向きに」と嬉しいお返事。そのメールからも誠実な人柄が伝わってきた。
でも、メールだけではだめ。本当にコラボレートできるのか、わたしのお客様に自信をもってご紹介できるかちゃんと確かめたかった。マークさんだってプロとして当然だろう。 そこで今年7月、ロンドンからパリへ、パリからロンドンへ海をわたって、ガイドのしあいっこをしたのである。
お会いすると、笑顔のさわやかなすてきな人だった。まずは、たいへん流暢な日本語で、わたしの旅の疲れをねぎらってくれた。
会話のやりとりから、日本人がパリに観光でやってきて、どんなことに戸惑うのかきちんと把握し、不安を取り除いてくれる、そういう気遣いのある人だと思った。10代から日本語を習い始め、日本にも数年住んだことがあるのだそうな。
事前に、マークさん自身が好きなパリを案内して下さいと頼んであったのだが、 その答えは、モンマルトル界隈、そして、もっともお客様をお連れするというマレ地区だった。 両エリアともとても充実した1日だったのだが、今日は、モンマルトルのことに焦点をあてたい。
私は、パリには過去数回旅行しているので、この地域はすでに行ったことがあるのだが、果たして、マークさんは期待どおり全く違うパリを見せてくれた。
ガイドブックを片手に自分で行った時は、目的地の最寄の地下鉄駅で降りて、すぐにサクレ・クール教会の丘に登り、映画「アメリ」を思い出し、パリ全体の景色を眺め、カフェやお土産屋を横目でみながら、そこらへんにあるおしゃれな店で物色し、また最寄駅から違う地点に向かうという、いわばパッチワークのような観光だった。「ソコ行ったよ!」と、チェックを入れられるだけのパリ。
マークさんが案内してくれたのは、一言でいえば、歩きながら、町並みがどのように変わり、そこに住むひとびとがどのように暮らし、その地にどんな歴史があり、今の風景をつくっているのか、足や目で体ごと理解しながら、楽しむモンマルトルである。
まず、目的地からは少し離れた駅で降りた。降りたことのない駅だ。このあたりは、アフリカ系の移民の町だと話してくれた。どの国からの人々が多いのか、なぜか、何をどう売って暮らしているのか・・・。フランスの植民地時代の歴史と現代のアフリカとの関係。そして、この通りからは、違う国からの移民たち。また、服が違う、売っているものが違う・・・という具合。
活気ある通りを右折左折しながら、歩いていくと、やがて、勾配が高くなっていく。また、風景が変わっていく。
わたしたちが辿った道と、丘から下りてくる石階段が出会った場所に立って、マークさんはこういう。
「ここが、モンマルトルを凝縮したようなコーナーです」 そして、19世紀の都市開発の地図を広げながら、
「モンマルトルはそれまではパリではなく、郊外の村だったんですよ。パリ市内に組み入れられたのはつい19世紀になってからなんです」。
そうか、道理でこのあたりは緑が多い。 道もまっすぐではなく、曲がりくねっている。 家々も低い。 小さなブドウ畑すら残っている。
マークさんは、その背景には、ナポレオン3世の近代化があったこと、イギリスとの関わり、設計した都市デザイナーのことなどを話してくれた。
それまでは、ずーっと、モンマルトルはパリ市内の北部だと思い込んでいた。
しかし、こうして離れた駅で降りて、しっかりと歩いていけば、町並みや風景が変わることが手に取るようにわかった。
そうして、マークさんが語る歴史の話と目の前に展開する風景の変化が結びつくのだ。
歩きながらマークさんの話しは続く。パリコミューンの背景が風景の中で理解できる。
ボヘミアンの画家たちが集まって自由な表現を追及した時代の風景が現実の風景と重なる。
教科書で習った出来事が、その起こった土地の風景を見ながら、しっくりと腑に落ちていくことの、充実。
パリという町の上っ面ではなく、そこに住む人々の歴史や文化と重ねて味わうことの豊かさ。
これは、町歩き+マークさんのような歴史的知識と土地勘と現代の情報をよく知ったガイドさん、そして何よりもパリを愛するガイドさん、と歩いたおかげである。
ロンドンはパリと非常に深いかかわりがあることもわかった。 わたしにとっては、そのこともとても有意義だったし、マークさんのガイドの仕方からは教わることもたくさんあった。
そして、ランチはガイドブックにはない、地元の人だから知る魚料理の店に連れて行ってくれた。
「信頼できる店はそんなにたくさんはないのです」、とマークさんはいう。
え?パリで?確かに有名な店はあるけれど、「シェフが変われば、味も変わってしまう。だから、ちゃんとチェックしないと」。さすが!
たしかに、気さくでリラックスした雰囲気で、一品一品、とても繊細な料理を出す店だった。
マークさん、すてきなパリの夏をありがとう。
この場を借りて、改めてお礼を言います。
パリで、個人ガイド/コーディネーター/通訳をお探しなら、マーク・ロパトさんの「パリ歩き」がおすすめです。
パリ歩きは、便利で素敵なアパートメントも紹介してくれます。
イギリスからパリに渡るお客様には、アートローグがお手伝いして、マークさんにつなげます。
これからも、「パリ歩き」と「アートローグ」をよろしくお願いいたします。
マークさんの 「パリ歩き」 ← クリックして下さい。
このブログは、アートローグのディレクターによって書かれています。
アートローグは、ロンドンを拠点にユニークな文化の旅や日英のミュージアムコーディネートの仕事をしています。
もちろん、上のような文化関係の通訳やコーディネートもしております。
サービス全体にご興味のある方は、下のロゴ(ロビンといいます)をクリックして下さい。
コメントを残す