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文化を主としたロンドン現地ガイドツアー
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ロンドン現地からみるオリンピックの本当の顔

1週間前に、オリンピックの開幕式の主役は「普通の人々」だったと書きました。
今日は、それと矛盾することを敢えて書きます。
情報を斜め読みするうちに、近代オリンピックが抱える負の部分がますますはっきりしてきたからです。
ここでは、ガーディアンの記事を参考にしながら、本当のオリンピックの顔をご紹介したいと思います。

オリンピック主催地として立候補した時、このオリンピックにはお金をかけないようにすることがアピールポイントでした。
ところが蓋を開けると、実際の経費は当初の5倍(£24億→£130億)もかかっているという。(それ以上という試算もあり)
ではどこからお金が出ているのか―税金を払っている国民の90%負担です。
「そうは言っても、地域経済の活性化とか、将来的にそれだけの見返りがあるんでないの?」と、思われるでしょうか?わたしもそう思っていました。
否。アメリカの格付け機関であるムーディーズによれば、オリンピックの主催地が長期的な利益を期待できるわけでは決してない、懐に金が入るのは短期的には「企業」の方だと。
8年前にオリンピックを主催したギリシアの今の状況(複雑な要素があるので単純な比較はできないものの)を浮かべながら、妥当な分析だろうと思います。現在のヨーロッパ経済の現実を思い出せば、なおさらです。

オリンピックの長期的スポンサーといえば、コカコーラやマクドナルドなどがあげられます。
健康に害のある商品を売る企業が、なんでスポーツの祭典のスポンサーなれるのだと、それだけでも不愉快ですが、そういうところが結局は甘い汁を吸う仕組みになっているのです。

先週、いくつかの競技場で観戦席がごそっとがら空きだったこと、そして、それがスポンサーが何年も前に購入した席群だったことが、日本のメディアでも話題になっていました。
わた
しの周りにも、チケットが買えなかった人がいます。
いったい、この不正は何でしょうか。上に書いたようなオリンピックの裏側を知れば、よけいに
腹立たしい。

さて、今回のオリンピックで注意を払うべき裏舞台、しかも日本の大手メディアが伝えない事実がもう一つあります。
それは軍隊の現前です。なんと13500人もの兵が警備に配属されているのです。
現在のアフガニスタン駐屯兵の2倍というから驚きです。ロンドン近くの沿岸では、イギリス海軍の軍艦が配置されています。
これだけの大掛かりな軍隊が、イギリス本国に配置されているのは、まさに第二次大戦以来です。

2007年のロンドンテロのこと、警備会社との契約がスムーズに行かなかったことなど、様々な口実はあるでしょう。「イギリス市民の大半は当たり前だと思ってるよ」と、ロンドン市長はケロッとコメントしていました。
馬鹿な、ロンドンという大都会でそれだけの兵が潜んでいることの異常さをもっと認識しなければならないはず。

政治社会学者のボイコフは、今回のオリンピックは、大都会というセッティングでのハイテク兵器使用の試験場になっていることを指摘します。
観戦で沸くロンドンの空では、あの悪名高きドローン(無人爆撃機)が、舞っているのです。
そして、ここでも多額の資金が兵器販売企業や警備企業に流出している。市民の税金が。

オリンピックで活躍する選手たち、ヒーローはもちろん困難な状況の中で参加した無名の選手たちも含めて、の挑戦する姿を見るのは、本当に感動的です。
だけれど、近代オリンピックを成り立たせているこのような大きな力を知ると、オリンピックは本当に「普通の人々」のためにあるのかと思えてなりません。
そこからすると、先週書いたような、「普通の人々」の開幕式は、いわばポーズだったのかと騙されたような気分ですが、消さずに、騙された自分をそのままにしておこうと思います。

 


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