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5000年前のリビングルーム:オークニー島

ご存知「ストーンヘンジ」は、英国の重要な文化遺産。

Stone Henge と固有名詞になっているくらいだが、

英語表記からわかるように、巨石遺跡の一般総称であって、

実は、イングランド、ウェールズ、アイルランド、スコットランド内に、

たくさん点在している。

なかでも、オークニー島はその古代遺跡の宝庫だ。

その事をある歴史学者の本で知ってから、いつかいってみたいと思っていた。今日やっと念願が叶う。

 

巨石遺跡といえば、エジプトのピラミッドの例のように、

パワーをもった人の墳墓とかパレスとか、

そうでなければ、「ストーンヘンジ」のような儀式の場と相場がきまっている。

だが、オークニー島の遺跡の魅力は、新石器時代の普通の人々の生活がわかる事にある。

 

Stromnessから車で30分、のどかな緑の放牧地や静かな湖を抜けると、

白い砂浜を抱いた青い海岸線にでる。

そこに、北ヨーロッパでもっとも保存状態がよいといわれる古代遺跡、Skara Braeがある。

紀元前、3500年の集落だ。

「ストーンヘンジ」が紀元前2100年。

ギザのピラミッドだって、紀元前2500年。

ピラミッドだって恐れ入るけど、それより、なんと1000年も古い!

そんな太古の昔に、どんなに心地よく工夫して人々が暮らしていたことか!

 

きれいに積まれた石壁でかこまれた丸い家々が、

10(現在わかるだけで)ほど集まっている。

それらを結ぶように通路ができている。

各家の中央には暖炉がある。

暖炉を囲むように、ひとりひとりのベッドがある。

ベッドには動物の毛皮やわらが敷かれ、マットレスになった。

ベッドのそばには、石の飾り棚があり、日用品が並べられていたのだろう。

その奥まったところからは、貝や石でつくられた装飾品がでてきたという。

スタイルつまり文化があったのだ。

暖炉のそばには、水槽があって釣られた魚やロブスターがはいっていたと推測されている。

太古の冷蔵庫だ。

なんと、インドアトイレまである。

家をでれば、すぐそこに青い海が広がる。

豊かな食材の宝庫だ。

 

繰り返すが、今から5000年以上も前の生活である。

もちろん、ストーンヘンジやピラミッドは息を飲む壮観さがあるが、

こちらは、人々の生活の匂いがする。

よい環境で、少しでも心地よく暮らそういう工夫がみえる。

 

Skara Braeは、1850年の嵐によって露出するまで、何千年もそこに眠っていた。

だから、こんなに保存状態がよいのだ。

あの飾り棚も、ほぼ当時ののままの状態で発見されたという。

 

オークニー近辺の古代史は、今も発見の途上にある。

Skara Braeから車で20分ぐらいのNess of Brodgarという所には、

国際考古学グループによって発掘調査がすすめられているエリアがあり、

次々に新しいことがわかっているそうだ。

 

Ness of Brodgarは、二つの湖に挟まれた細長く狭い土地で、自然がつくった魅力的なセッティングだ。

そこに立っているだけで、不思議なパワーを感じる。

古代の人々もそのロケーションに魅了されたのだろうか?

そのミステリアスな自然環境のなかに、崇拝の場所や集う場所、暮らす村を選んだに違いない。

Ring of Brogdar (推定BC2500)と Standing stones of Stones of Stenness (推定BC3100 BC) というストーンサークル(いわゆるストーンヘンジのような巨石文化)、そしてBarnhouseの新石器時代の村(推定BC3100 BC)だ。

その家々も、Skara Braeのように、石の家具や炉があり、シンメトリーでシンプルで美しい。

そこで発見された石には、彫りが施されていたのだが、

この時代によくあるように、動物や人間を描いたようなものではなくて、

三角や円や線を組み合わせた幾何学的なもので、鮮やかな色がついていた事が調査から明らかになっている。

古代人の、まさに「ミニマリストの家」だ。

 

オークニー島には、ロマンがある。