目に見えない展覧会

「Invisible ―目に見えない」という展覧会がヘイワード・ギャラリーで始まっています。
どんな作品があるのかは、もうご自分の眼?で確かめていただくより他ないー
何ていったら、このブログが成り立たないので、目に見えるようにざくっとご紹介しましょう 

ますは、1950〜60年代のアメリカから。
イブ・クラインは、「空気の建築」という構想を作って、そのプランをインクでスケッチしました。

オノ・ヨーコは、詩的なメッセージを壁に張って、見る者に想像力でもってイメージを結ばせました。

アンディ・ウォーホールは、NY のナイトクラブに台座を設置し、そばの壁に「Andy Warhol, USA/ Invisible 目に見えない彫刻   mixed media 1985」というラベルをつけ、台座の上でしばらく立つと、やがて立ち去りました。

中国系アーティストSong Dongは、「石の上に水で書く日記」というのを1995年いらい今も続けています。
面白かったのは、すぐに消えていく文字を重ねながら、その日記がますます自分自身になり、厚くなっていくという作家の言葉。

政治的なメッセージがこめられ、この展覧会ではいちばん重かったのは、メキシコの現代作家Teresa Margollesでしょう。
彼女は、メキシコの犯罪の町で、実際に犯罪が行われた場所の舗装道路を穿ち、そこに犠牲者たちの家族が思い思いのものを埋め、またコンクリートで固めて、もとのような状態に戻したーというプロジェクトを記録したものでした。

もっとも痛快だったのは、英国のアーティストBethan Huwsによる「from NY to
San Fransico to ・・・」という作品。 展覧会場の出口のそばにラベルがあるだけ。
そこには、この展覧会場である「人」が、まるで他の来館者と同じように歩き回っているのだそうで、つまりその人やその行為自体が作品だというわけです。

どれもこれも、なんだか狐に抓まれたような作品ですが、
これのどこがアートなのよ、とか、こんなんでよく入館料払ったね、なんて思われるでしょうか?
わたしは、そうは思いません。
なぜなら、ここに来ている人たちはわたしを含め、騙されるのを承知で、いやそれを楽しみにきているからです。
美術家というのは、こういうばかばかしい?ことを、真面目くさってトコトンやる人たちです。
だからこそ、そこにユーモアが生じたり、ちょっと待てよと私たちが日常忘れてしまっていることに気付かせてくれるのでしょう。

こんな展覧会があってもよいではありませんか。
特に夏には、その考え方自体涼しげでいい。


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