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世界三大宗教と古代エジプトーカイロの旧市街

エジプトならピラミッドとスフィンクスというのは、日本は富士山・芸者というに等しい。
そんなステレオタイプな見方から、今日は わたしが垣間みたエジプトの歴史の多様な側面について書こう。

カイロの東側は市場やモスクが並ぶイスラム地区が、南部には古いカイロの街がある。
エジプト3日目、わたしたちは、その古いカイロの街を歩くことにした。
そこは、コプトといわれる初期キリスト教の文化が花開いた街でもある。

かつてのバビロン要塞の橋の上に作られたために、ハンギングチャーチと呼ばれる「聖メアリー教会」は9世紀(7世紀説も)には存在したという。

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ここには、イスラム文化とキリスト文化のみごとな融合がみられる。
例えば、この木製ドア全体はイスラム文化に特徴的な細かい木彫りが施されているが、
よくみると周囲は十字架に囲まれている。
教会の中央にある演説台も、ミスバといわれるモスクにあるにそっくりだ。
ここには、イコンが110点もあり、なかには9世紀に描かれたものもあった。

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また、聖セルギウスと聖バッカス教会も11世紀の建物で、そこにある柱はなんと4世紀に遡るらしい。
この教会は、赤子のイエスを抱いたマリアとその夫のヨゼフ-聖家族が、イスラエルでの嬰児虐待から逃れるために、
エジプトに逃亡した時に休んだ泉の上に作られたという。
よく西洋美術のテーマになった「エジプトへの逃亡」の話がこの地に存在するなんて驚きだ。
この教会の地下にはその泉があったし、聖家族がどのようにエジプトを移動したのかを説明するパネルがあった。

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地元の家族だろうか、その泉にひざまずいてキスをしていた。
彼らはコプト教会の信者に違いない。
真偽のほどはさておき、その独特の雰囲気は忘れがたい。

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この近くには、ユダヤ教の古いシナゴーグもある。
そこにも、キリスト教やイスラム教と相通じるシンボリズムや建築様式がたくさんみうけられた。
昨年末、カイロのコプト教会で爆破事件がおきたけれど、三大宗教が共存して花開いた土地なのだ。

さらに興味深い事は、そのキリスト教、イスラム教、ユダヤ教そしてギリシア美術に、古代エジプトの文化美術が大きな影響を与えていることだ。
それをみごとに伝えるのが「コプト美術館」である。
この美術館には、すばらしいコレクションがあるだけではなく、美術館のイスラム建築もすばらしいし、エジプト博物館よりよくオーガナイズされている。

たとえば、古代エジプトの命のシンボルであるアンクが、なんと、十字架とかさなったもの。

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古代エジプトの神でアイシスが息子ホルスを膝の上に抱える図と、イエスを膝にのせたマリア像。
アイシスもマリアも神の力で身ごもったと語られることもパラレルだ。

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あるいは、キリスト教会に、「アフロディーテ」や「ディオニソッス」のイメージがたくさん使われていることなどなど。

エジプトは、イスラム教・キリスト教・ユダヤ教の発祥地から近い。
古代エジプト文化は、それらの宗教が生まれるずっと前から発展し、
周辺地域に多大な影響を与えたこと-
エジプトの地に影響を与えるだけの見事な芸術や文化が発展したことを考えるならば、
融合や影響をみることができるのも、当然のことなのだろう。

エジプトは実に深い。