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四角な身体: アントニー・ゴムリー @ Whitecube

ギャラリーの建物に近づくと、その前に鋼鉄の四角な彫刻が立っていた。
近づいてよく見ると、大小さまざまな直方体・立方体で組み合わされているのだが、
まわりながら眺めているうちに、ああ、これは二人の人体なのだと理解した。

玄関に入れば、ホールの各所に何体もの彫刻が並んでいる。
どれもこれも矩形で構成された塊だが、すべてがさまざまな姿勢をした身体だ。
ひざを抱えて座る人、壁際に寄りかかる人、床に寝転びながら足を上げる人。
互いに関係性をもっておらず、それぞれに孤独な存在だ。
そのような無機的な像の間を、来館者や警備の人が動き回っている、そのずれも面白い。

ギャラリーの一番大きな部屋には、その部屋を占領するかのような巨大なスチールの塊があった。
これも、直方体や立方体で構成されている。

あまりに大きすぎて全体がつかめないけれど、これまでの流れからこれも床に寝そべった大きな人体であることは間違いない。
小さな私は壁に寄りかかって座りながら、その巨体と部屋の関係、そしてわたしとの関係に思いを馳せた。

ふと、人の声が中から響いてくる。
なんだろうといぶかしく探してみると、足元とおぼしきところに、ドアのような入り口があり通路が暗闇の中に続いている。
誘われるままにはいっていくと、巨大なボディーの中を巡ることになる。
照明は一切なく、ときおりはいってくる部屋の明るさを頼りに、あるいは冷たい鉄の壁面を手で探りながら
体内への旅をするのだ。
でも、その素材から、血の通う人体ではなくて、むしろ絶対的な存在のような感じすらした。

これは、ロンドン南部にある「ホワイト・キューブ」ギャラリーでのアンソニー・ゴムリー展である。
ボディをテーマに制作を続けるイギリスのアーティストだ。
ニューカッスルの巨大なエンジェルや都会のビルの頂上に人体をおいた「ホライズン」のように、
いつもランドスケープや建築と共鳴させる。
今回は矩形を組み合わせて身体をつくったのも、このギャラリーが「キューブ」だからに違いない。
2013年初の展覧会見学は、なかなか興味深いものだった。


このブログは、アートローグのディレクターによって書かれています。

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